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国立大学法人九州工業大学社会ロボット具現化センター

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第8回トマトロボット競技会 開催報告書(2021.12.24)

令和3年12月8日
実行委員長 石井和男

開催日:令和3年12月4日 ~ 令和3年12月5日

開催場所:北九州学術研究都市 
enPiT-Pro農業IoT実習用ハウス 及び,九州工業大学大学院生命体工学研究科

主催:第8回トマトロボット競技会実行委員会

共催:九州工業大学社会ロボット具現化センター,北九州市立大学,西日本工業大学,北九州工業高等専門学校,響灘菜園(株),長崎県立大学, 九州職業能力開発大学校,北九州商工会議所,北九州市

協賛:(株)安川電機,(株)ラック,(株)アフレル

後援:(公財)北九州産業学術推進機構,北九州ロボットフォーラム,(一社)日本機械学会,(一社)日本ロボット学会,農業食料工学会IT・メカトロニクス部会,九州農業食料工学会,(公財)北九州観光コンベンション協会,農林水産省

大会の趣旨:

 本競技会は,トマトという身近な果実をロボットが収穫するという作業を通じて,アグリロボットの発展と共に自然環境への興味とロボット技術の興味を引き起こすことを目指して2014年から開催しており,本大会で8回目となります.農業分野へのロボット導入について検討する機会を提供し,ロボットがトマト採取の速さや正確性,丁寧に扱えるかを競う競技会です.大学生・一般のチームが参加するシニア部門,中高生を対象としたジュニア部門に分けて開催し,シニア部門課題は徐々に現場に近い環境へ変更する方針としています.昨年度の第7回大会よりシニア部門を屋外に設置したenPiT農業IoT実習ハウス,ジュニア部門はZoomを活用した遠隔競技としたハイブリッド形式で実施しています.

参加チーム:

 競技者数シニア部門67名,ジュニア部門77名の参加があり,関係者を含め約200名規模で開催しました.競技の様子はYouTubeを用いてインターネット上に配信しています.*参加チーム一覧は別紙(1)

 シニア部門では九州,山口,大阪から8チームの参加があり,新規チームとして奈良高専からの参加があった.昨年度と同様,シニア部門の予選はビデオ審査とし,各チームとも自律ロボットによる自動収穫に成功していたことから,全8チームを決勝戦への進出とした.7チームはレールスタイル部門,1チームは土壌を走行するフリースタイル部門への参加であった.ジュニア部門は福岡,大分から26チームの参加があった.福岡県から北九州高専や福岡工業大学付属城東高校,県立福岡工業高校,県立香椎工業高校,県立小倉工業高校,長崎県から長崎総合科学大学付属高校,大分県から県立日田林工高校からの参加があった.

大会の結果:

 シニア部門の優勝は九州工業大学林研究室,ジュニア部門は日田林工高校であった.前回大会と比較し,シニア部門はロボットの完成度も向上し,全て自律型ロボットとしての出場であった.1チームは土壌を走行するフリースタイル部門への参加であった.

 シニア部門優勝チームは10分間で18個のトマトを収穫しており,トマト農園への自動トマト収穫ロボット導入が期待できる段階まで来ている.ジュニア部門でも上位チームは全ての課題を達成しており,高いレベルでの競い合いとなった.

ジュニア部門の結果まとめ

表1 ジュニア部門結果

Basicクラスチーム名所属
優勝ヒイロ・レイ日田林工
準優勝福岡工業C福岡工業
第3位小倉工業A小倉工業
Advanceクラスチーム名所属
優勝TKG福工大付属城東
特別表彰チーム名所属
ベストプレゼン賞パミドール パシューナヴィー福工大附属城東
ユニーク機構賞福岡工業D福岡工業高校
敢闘賞NiAScience長総大附属高校
敢闘賞T-セルフ福工大附属城東
審査員特別賞ちょっトマト〜よ香工Go〜香椎工業

ジュニア部門各チームの得点

所属チーム名得点
福岡工業大学付属城東高校TKG(トマトかけご飯)2415
大分県立日田林工高等学校ヒイロ・レイ2195
福岡工業高等学校福岡工業C2110
小倉工業高校電子機械科小倉工業A1480
福岡県立香椎工業高等学校香工産のトマトロボット1200
福岡工業大学付属城東高校トマト三連星1175
福岡工業大学付属城東高校パミドール パシューナヴィー1100
大分県立日田林工高等学校アイアンメイデン1090
福岡工業大学付属城東高校頭文字T1080
大分県立日田林工高等学校いぶちゃん3號925
長崎総合科学大学附属高等学校NiAScience865
福岡県立香椎工業高等学校香工代表トマト評論家815
福岡県立香椎工業高等学校ちょっトマト~よ香工Go~805
福岡工業大学付属城東高校トマケンクラフト(トマトパワー)800
福岡工業高等学校福岡工業E630
福岡県立香椎工業高等学校トメイトゥ推しの香工号630
北九州工業高等専門学校赤農家(レッドファーマーズ)525
福岡工業高等学校福岡工業D505
福岡県立香椎工業高等学校KAKOU トマトR34440
北九州工業高等専門学校兎明党(トメイトウ)415
福岡県立香椎工業高等学校ゴーゴー香椎トマト号405
福岡県立香椎工業高等学校トマトロボット香工ST0420号375
福岡工業大学付属城東高校T-セルフ335
小倉工業高校電子機械科小倉工業B640

ジュニア部門の各賞について

<Advanceクラス>

優勝 : TKG : 福工大付属城東 2415点 

概要:レゴ社から販売されているスパイクプライムという同社のマインドストームEV3よりパワフルで創作の幅が広いロボット制作キットを用いた機体をPythonで書いたプログラムで制御.大きさは規定ギリギリとなったが重心バランスを考えることで安定した動作を実現していた.

<Basicクラス>

優勝 : ヒイロ・レイ  :  日田林工, 2195点

概要:一周でトマトを回収することに主眼を置き,4枚刃のプロペラを工夫してトマトがどんな大きさでも収穫できるように工夫していた.

準優勝: 福岡工業C : 福岡工業,2110点

概要:試作を沢山製作し,その開発途中の工夫点も発表していた.昨年度の機体にパーツを加えることで剛性を高めながらも,他の余分なパーツを減らすことで軽量な機体を保っていた.

第3位:  小倉工業A :  小倉工業, 1480点

概要:アームにスポンジを用いて走行の安定性向上を目的としてボールキャスターの設置方法を工夫することにより安定したトマト収穫を可能にした.

<特別表彰>

ベストプレゼン賞: パミドール パシューナヴィー : 福工大附属城東

受賞理由 : 審査員2名からの最高得点を獲得し,名前のユニークさに加え,質疑応答にも的確に答えていた.

ユニーク機構賞 : 福岡工業D               : 福岡工業高校

受賞理由: ロマンスを求めた機構で,鉤爪のようなアームを横から出すアイディアが参加チームで唯一無二であった.

敢闘賞(Basic)  : NiAScience         : 長総大附属高校

受賞理由 :最も遠方からの参加チームということで,オンライン開催特有の通信トラブルにも見舞われながらも,最後まで競技参加を頑張った.

敢闘賞(Advance)  : T-セルフ          : 福工大附属城東

受賞理由 : 今年開設したAdvance部門において果敢にマイコンを用いた制御で挑んだチームであり,ソレノイドを用いたことや制御に割り込み処理をとりいれたことなど工夫点が多くあった.

審査員特別賞    : ちょっトマト〜よ香工Go〜  : 香椎工業

受賞理由 : 毎年メリーゴーランド式のチームが上位にランクインするが,収納台は制御面から4分割にするチームが多い中,このチームは3種類のトマトに合わせて3分割して競技に望む姿勢がよかった.また,角度制御も20°や50°のと細かな設定をしており,バッテリー残量によってモータトルクが変化することにも気付きバッテリーマネージメントも行っていた等,細やかな調整を行っていた.

シニア部門の結果まとめ

優勝チーム HAYASHI-LABは,10分間に赤い収穫時期のトマトを13個,未成熟または傷がついたトマトを合わせると18個のトマト収穫に成功した.全チームが自動収穫を行うT-5,6クラスからの参加であった.響灘菜園賞はトマトを丁寧に扱ったHibikino-Tomsが受賞,今後の発展が期待できるチームとして九州職業能力大学校トマスターにラック賞が授与された.

表2 シニア部門結果

 チーム名所属
優勝HAYASHI-LAB九州工業大学林英治研究室
準優勝Hibikino-Toms九州工業大学石井研究室
第3位しゅがらぼ長崎総合科学大学佐藤研究室
響灘菜園賞Hibikino-Toms九州工業大学石井研究室
ラック賞トマスター九州職業能力開発大学校
技術賞奈良高専 飯田研究室奈良工業高等専門学校飯田研究室

シニア部門各チームの得点

図1 シニア部門集合写真

図2 優勝チーム: 九州工業大学 HAYASHI-LAB

図3 準優勝チーム: 九州工業大学 Hibikino-Toms

図4 第3位: 長崎総合科学大学 しゅがらぼ

図5 特別賞 響灘菜園賞: 九州工業大学 Hibikino-Toms

図6 特別賞 ラック賞: 九州職業能力開発大学校 トマスター

別紙(1) 参加チーム一覧

ジュニア部門参加チーム

所属チーム名参加人数
長崎総合科学大学附属高等学校NiAScience6
北九州工業高等専門学校兎明党(トメイトウ)4
 赤農家(レッドファーマーズ)3
福岡工業大学付属城東高校頭文字T3
 トマケンクラフト(トマトパワー)3
 T-セルフ4
 トマト三連星3
 TKG(トマトかけご飯)3
 パミドール パシューナヴィー3
福岡工業高等学校福岡工業A4
 福岡工業B3
 福岡工業C9
 福岡工業D4
 福岡工業E4
大分県立日田林工高等学校ヒイロ・レイ2
 いぶちゃん3號2
 アイアンメイデン2
福岡県立香椎工業高等学校香工代表トマト評論家1
 ゴーゴー香椎トマト号1
 トマトロボット香工ST0420号1
 香工産のトマトロボット1
 ちょっトマト~よ香工Go~1
 KAKOU トマトR341
 トメイトゥ推しの香工号1
小倉工業高校電子機械科小倉工業A4
 小倉工業B4
7校26チーム77名

シニア部門参加チーム

所属チーム名ロボット名クラス参加人数
九州工業大学大学院生命体工学研究科 石井研究室Hibikino-TomsToms-5号機T55
九州職業能力開発大学校トマスタートマトルT516
山口東京理科大学機械工学科 池田研究室瑞麟(みずりん)翔舞漢(とまお)T55
長崎総合科学大学 佐藤研究室しゅがらぼそうやT57
九州工業大学情報工学部知的システム工学科 林英治研究室HAYASHI-LABX-ConbeT522
奈良工業高等専門学校電子制御工学科 飯田研究室奈良高専 飯田研究室ゴールドフィッシュT57
大阪電気通信大学工学部電子機械工学科 鄭研究室HSRL-TomatoJela-T3T55
7チーム   67名

別紙2 当日のスケジュール