私は,平成21年3月に,本学を定年退職致しましたが,研究プロジェクト推進のために特任教授・名誉教授として,従来のままの研究環境で,研究と論文作成指導を継続しています.
現在の主たる研究テーマは2つあり,一つは平成20年度に採択された特別推進研究『ソフトコンピューティング技術による「てんかん」原性域の特定と低侵襲治療法の確立』(平成20年度~平成23年度)の推進で,もう一つは『誘電泳動を利用した生体細胞(iPS細胞,赤血球,白血球,血小板など)の同定・分離・抽出に関する研究』です.
(1)低侵襲てんかん根治療法の開発(CADETプロジェクト)
薬物治療の効果がなく,週に2回以上の発作を起こし,日常生活にも大きな支障をきたす,いわゆる「難治性てんかん患者」が,日本国内に約25万人,世界中で約5000万人(WHO調べ)いるといわれています.この人達に残された道は,頭蓋骨を切り外し,てんかんの「引き金」になる部分を切除する外科手術ですが,これは時として正常な脳も切除してしまうので,感覚障害,運動障害,記憶障害,言語障害などの後遺障害に悩まされます.これを避けるために,精度よくその病巣を同定する手法を開発し,その病巣をマイクロフリージングプローブで凍結融解壊死させる技術やレーザー光線で焼灼する技術を開発します.この研究は,山口大学医学部,静岡大学工学部との共同研究プロジェクトで推進しています.
(2)誘電泳動現象を用いた生体細胞の同定・分離・抽出に関する研究(DEPプロジェクト)
微細加工技術によって誘電泳動デバイスを作成し,生体細胞(iPS細胞や,癌化した白血球,マラリア原虫に寄生された赤血球など)を分離・抽出するシステムを開発しています.近い将来,微量な血液をもとにいろんな病因を信頼性よく探ることのできる全自動の臨床検査機器ができるでしょう.また,この技術は,生体細胞のみならず,無機材料の粉体も分類・ハンドリングができますので,この方面への応用も考えていきます.
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